「東北工業基地」振興政策
遼寧省及び投資チャンスの概況
 1. 遼寧省の基本状況
 2. 第10次5か年計画の構想と目標
 3. 第10次5か年計画の重点的方向
 4. 双方の協力を推進する方法
遼寧省重点工業プロジェクト
 1. 装置製造業
 2. 冶金工業
 3. 石油化学工業
 4. 自動車工業
 5. 農産品高度加工
 6. 軍事産業
 7. 医薬品工業
 8. 軽工業・繊維工業
 9. 建材工業
 10. 大連市の工業
瀋陽市について
 ●自然概況
 ●都市のインフラ
 ●各種政策
瀋陽が先行〜指導者スピーチ
大連市の投資環境とプロジェクト
撫順市企業誘致プロジェクト
丹東市企業誘致プロジェクト
吉林省企業誘致プロジェクト
黒龍江省企業誘致プロジェクト
北京オリンピック関連投資

中華人民共和国「東北工業基地」振興政策のご案内

21世紀経促会・北京友邦弁護士事務所(2004年2月)
「東北工業基地」振興政策

世界に向けて“Made in China”の重工業製品を
中国東北地域、新たに再出発

2003年10月末、日本大手企業の視察団は、中国遼寧省・瀋陽市の工業地域・鉄西区の機械工場を視察しました。視察後、「中国の国有企業の実力を以前は軽視していたが、中国の国有企業から学ぶべき時代になった」という感想が出ました。また、「10台以上の大型製造プラントが同時に稼動しながら製品を生産する光景は、中核部だけ開発し部品の生産を外部に発注する現在の日本企業ではなかなか見られない」という声も出ました。
1949年の中華人民共和国の成立後、鉄西は中国の重要な重工業基地でした。1978年の改革開放後、生産は一時中止されましたが、最近になって生産を再開しました。

戦略的政策を決定、注目を浴びる

現在、中国・東北地域は注目を浴びています。2003年、中国共産党の第16回大会で東北地域などの“旧工業基地”の再整備を決定しました。国務院では、東北地域工業振興と西部開発を、2つの重大な戦略としました。これは、多くの外国資本を利用して東北地域の重工業を振興し、この地域の重工業の振興により中国の経済成長を加速させることを狙っていました。市場もこの動きに積極的に反応しました。例えば、中国最大の機械メーカーの株価は2003年9月1日に9%も上昇しました。“東北地域関連株”は株式市場でも人気を博しました。
2002年のGDPからみると、東北地域の生産能力は中国のGDPの11.3%を占めています。この地域の最大の強みは、“一括生産の基礎”があり、完成品を生産することができると同時に、末端の部品を生産することができることです。
遼寧省が2010年までの発展に重点を置いている3つの産業は、この地域の経済の特徴を表しています。3つの産業とは、1.交通運輸関連の製造業、2.機械と大型プラントの製造業、3.軍事関連の製造業(武器、航空機、船舶、核関連など)です。
上記の産業分野で東北地域が占める割合は、大型火力発電の施設建設で33%、大型水力発電の施設建設で50%、自動車で16%、ベアリングで15%、原油の精製で40%、石炭の精製で12%、鉄鋼の製造で16%、造船で30%を占めています。
現在に至るまで、中国は毎年約700億ドルのプラント設備を輸入してきました。そのうち、石油化学工業分野で輸入された設備は、全体の80%を占めています。その他にも、今後は情報技術領域においても輸入量が拡大すると予測されています。その情報技術に不可欠な光ファイバーの製造設備も全て輸入に依存しています。
東北地域を振興し重工業を復興することは、中国国内の力を伸ばすことにより輸入依存の問題を解決することにつながります。その他の発展途上国と同じように、東北地域は経済的に成長する前の段階にあります。今後は、東北地域が“made in china”の重工業製品を作り出してゆく可能性が広がっています。
東北地域が中国経済の中で新たに再興される際のポイントは、1.企業が協力し外資を導入すること、2.投資に有利な政策を作ること、3.交通基盤を完璧に整備すること、この3点です。

企業の構造改革と外資導入

東北地域は、企業合併と民営化により企業の競争力を高め、構造改革のスピードを高めました。例えば、2003年10月末に遼寧省にある遼寧特鋼は、黒竜江省政府の要請を受けて、黒竜江省チチハル市にある北満特鋼工場の全面的な管理権を獲得し、東北特殊鉄鋼集団責任会社を設立しました。
この北満特鋼は、中国で最も早く設立された鉄鋼企業でしたが、経営不振のため2003年9月13日に生産を中止していました。その他にも、2004年1月16日には遼寧特鋼、大連特鋼、撫順特鋼が合併しました。この合併に至るまでに、中国東北地域の三大鉄鋼企業は協議を重ね、中国最大の鉄鋼企業が誕生しました。さらに、鞍山鉄鋼会社と本渓鉄鋼会社も合併の道を模索しています。
国有企業のこのような構造改革は、合併を通じて行われています。瀋陽市にある423社の中小企業は、外国資本に企業を売り出すことにより株式化を実現し、あるいは強制的に破産することにより企業の構造改革と民営化を進めています。それ以外にも、より大胆な行動が見られます。例えば、営口市では市内の97%の国営企業を民営化することを計画しています。
このような状況で、外国資本が中国の重工業分野に積極的に進出しています。例えば、瀋陽市鉄西新区に進出した企業には、松下電器産業、三洋電機、日野自動車などの日系企業以外に、アメリカのGE社、コカ・コーラ社、ドイツのBSF社、フランスのミッキリンダイヤ社などの企業があります。鉄西新区の主要な製品には、建設機械、大型ポンプ、自動車発電機、ダイヤ、燃焼タービン、医薬品、バイオ製品などがあります。
外国資本は、中国企業を積極的に買収することもしています。2003年7月、黒竜江省牡丹江市にある国有企業ST樺林の株式の入札では、シンガポール佳通ダイヤ投資有限会社が44.3%の株式を取得し、最大の株主となりました。それ以外には、瀋陽黎明会社とGE社は飛行機の部品製造分野で、また瀋陽飛行機製造工場とボーイング社は尾翼製造分野で積極的に提携しています。

政策面での支援と投資の改革

2003年10月末、東北地域に対して政策面で支援するために、中国政府は国債を発行して、東北の旧工業基地を復興する計画を明らかにしました。この計画は、100件のプロジェクトに対して610億元の国債を投入するものですが、そのうち52件のプロジェクトは遼寧省に対するものです。今後は資金面だけでなく、政策面でも国から東北地域に対する支援は増えるでしょう。
中国の新首脳陣は、中国の東北地域に対して非常に大きな期待を持っています。2003年5月末から5ヶ月の間に、温家宝、黄菊、李長春、曽慶紅などの中央政府と共産党の首脳が東北地域を視察しました。この4人は中央政府の政治局の常務委員ですが、常務委員9人のうち4人が東北地域を視察したことは、今までにありませんでした。中国政府は2020年までに“裕福な生活”を実現し、国内GDPを2倍にすることを国民に約束しています。そのため、選ばれた地域の産業が非常に重要になっており、東北地域の重工業はその役割を担っています。

交通の中枢化とその将来性

北京〜瀋陽間の“中華の星”という高速鉄道(乗客輸送列車)は2004年内に開通する予定です。その速度は、新幹線と同じレベルに到達すると予想されています。その他にも、道路基盤の建設や、鉄道基盤及び航空基盤の整備が行われており、物流にかかる時間が短縮化しています。
重要なことは、利便性の高い交通基盤を、ロシア、外モンゴル、朝鮮半島などの周辺国家に結び付けることです。もし交通基盤を伸張できれば、日本、シベリア鉄道、外モンゴル、ヨーロッパまで広がる交通の中枢になることができます。東北地域の将来性は、珠江三角洲経済区や長江三角洲経済区が軽工業が中心で外国と陸続きでないことと比べると、この点にあるのに注目下さい。
東北地域が、珠江デルタ経済区・長江デルタ経済区、京津唐経済区に続いて、中国で第4の重要な経済発展区になり、渤海経済区と合併することは非常に重要です。
渤海経済区には、北京、天津、青島及び瀋陽など代表的な都市があり、これらの都市は各自、多様な産業を展開しています。大連と青島は積極的に交流を行い、2つの経済地域の関係を高めています。
2003年10月、中国人民共和国は有人人工衛星の打ち上げに史上初めて成功しました。しかし、東北地域の重工業が今回の人工衛星の打ち上げに貢献したことは知られていません。例えば、大連重工起重集団会社(宇宙船の発射台のクレーンなどを生産)、遼寧特鋼集団(宇宙船用の特別鉄鋼を生産)、大連染化集団北方塩素酸カリウム工場(固体酸化剤を生産)などが貢献した企業として挙げられます。それ以外にも、東北の重工業企業は現在試験中のリニアモーターカーの開発や、中国各地で行われている高速鉄道の建設にも積極的に参加しています。
中国の東北地域の産業を振興するためには、航空産業、先進的な機械産業(自動化、燃料電池など)、環境保護産業など、将来有望な産業の発展を促進する必要があります。今後、日本を含めた外資系企業にとって、中国と交易するうえで、東北地域の地位は大きく高まると思われます。


中国で儲けている日本の株式投資家
「注目を集めている中国株(朝日新聞 2004年2月2日号)」より

中国経済の著しい発展は、日本の株式投資家の注目を浴びています。日本国内の各証券会社の第3期決算で、中国と香港の株式取扱高は顕著に増加しています。大手・中堅の証券会社は、相次いで中国の株式を販売することに対し力を入れています。
東海東京証券会社が取り扱う外国の株式のうち中国株式が占める割合は、2003年4〜6月期には18%、7〜9月の間には36%、10〜12月の間は62%であり、さらに12月分だけをみると80%を超えています。10〜12月の株式売買で23億円の利益を上げましたが、そのうち約半分の10億円は中国株式の売買で計上したものです。
SMBCフレンド証券会社が扱う中国に関する投資信託の手数料売上は、前期の3,000万円から、2003年10月〜12月期には3億円まで増えました。2004年1月に新設した中国株の投資信託は、最初の1週間で70億元を集めました。
大手証券会社の大和証券は、投資信託商品“チャイナ騰飛(トンフェイ)”を販売しました。販売開始日の2004年1月29日に設定した募集金額は622億円で、中国株の投資信託の中では最大規模です。
投資家が中国株に興味を持つ理由は、中国企業が株式の上場に積極的であること、円高によりドル建て債券などの魅力が小さくなっていること、2003年年11月以降日本国内の株価が低迷していることなどがあげられます。


中順軽量自動車を市場に導入

瀋陽中順自動車製造会社が製造した“中順世紀軽量自動車”は、2004年2月6日から販売されます。
大手民営企業である瀋陽中順自動車製造会社は、松遼自動車株式有限会社を吸収合併し、自動車の製造権を獲得しました。また、溶接、塗装、内装の三つの分野で技術改革をし、瀋陽中順自動車製造会社は、年間6万台の自動車を製造することができます。現在主に軽量自動車、MPV、SUV、及びMPVシリーズを生産しています。自動車のデザインを担当しているのは、有名なアメリカのセンチュリー・オートモーティブ社です。2004年の生産目標は3万台です。現在、市販されている新製品・中順世紀6503シリーズの軽量自動車のデザインは個性を強調したもので、ビジネス用・公務用・乗客用・荷物用などの多くの種類があります。現在、中順自動車の新製品は、黒竜江、吉林・遼寧、河北・北京及び天津などの市場で販売しています。

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